「やっぱ良いなぁ日本。フランス領ならないかなぁ。」
「なりませんよ。」


連絡も無しにふらりとやって来たと思えば、勝手知ったる体で客間に座り物騒な事を呟いている。
律儀にそれに答え、日本は呆れたようにフランスを見つめた。


「四季がいいな、まず。」
投げかけられる日本の目線を特に気にもせずフランスはそう言った。
床の間に飾られた花菖蒲を見やり、ゆるく笑う。
「季節の花を飾る、てか。ホントお前らしいよ。」



紫がかった青はいまそれを愛でる男の瞳とひどく似ている。



俺らのトコじゃなぁ…そりゃちょっとは違うけどな。暑さ寒さ。
でも日本ほどじゃないからな。こんな良い気候でもないし。
イギリスとか年中霧でほんと滅入るわ。
飯も不味いし、性格悪いし、海賊だし、うわまじで良いとこないなあいつ。
それに比べて俺。飯も旨いし街は綺麗。最高。
ああ、そういや去年は良いワインが出来たんだ。五年もたてば飲み頃だなぁ。
日本は俺のトコのワイン好きだよな?さすが味が分かるねぇ。
でも日本、お前ボジョレー・ヌーヴォー輸入しすぎじゃないか。
若すぎるだろあれは。まあ確かに飲みやすいけどな。
ワインって言えば、ドイツワインも結構好きなんだよ俺。
てかあいつ、あんなでかい図体に厳つい顔して甘口ワインってなぁ。
似合わねぇの。しかもしってるか、あいつチョコレート好きなんだぞ。
すげぇ幸せそうに食ってた。まあいつも通りの仏頂面だったけどな。
付き合い長いし、ちっとは分かるさ。
日本も甘いもん結構食うよな。前にもらった…あんこ?
あれは凄いな。甘すぎ。ああ、でもモチにつけてたのは旨かったわ。
…おーい、日本。
お前話し聞いて…っ



つらつらと取りとめも無い話を続けるフランスの口に、日本は無言で飴を放り込んだ。
若干大きめのそれを、驚きながらも転がす。

「良く喋られますね、今日は。」

それでも食べて少し落ち着いてください。
日本はそう言い、客人への対応にしては珍しくやっと茶を入れる。
飴は薄い甘さの上品な味だった。

「…演じるのが得意だとは承知しておりますけどね。」

白く湯気をたたせながら注ぐ茶を見つつ、幾分か苦笑いを含みながら話す。

「甘えたい時ぐらい、甘えればよろしいでしょうに。」












小さくなった飴を噛み砕いた。













「…なぁ、日本。」
「はい。」
「飴、もう一個。」
「…はいはい。」











黄金期間リクエスト番外「仏日」です。遅ればせながら。
飄々としている人は、外には見せないけどすごく努力しているのだと思います。
リクエストくださった方、遅くなりましたが有難う御座いました。